結果レビュー

イベントMCを務めさせていただきました横井です。


参加者の方がほとんどハッカソン未経験者ということで、正直なところ作品を完成させる事ができるのか…?運営、メンター共にすこしばかり不安を感じつつ始まった当大会でした。


ーですが、そんな不安もなんのその!?

なんと、全チームが初めてにもかかわらず作品を完成させ、YouTubeへの動画投稿まで完了するという素晴らしい結果となりました。


参加者さんの頑張りには本当に感動しました!

みなさんへの敬意を表しまして、全作品にレビューをさせていただきました。

拙い点もございますが、優しい気持ちで、生暖かーく見ていただければ幸いです。


イベントの様子をPANORAさんが記事にしてくださいましたので、是非そちらもご覧ください。


http://panora.tokyo/75610/

最優秀賞

チーム:サンコイチ

【自己紹介】 はじめまして!あけびです。 【Vtuberハッカソン岡山】


ほとんどのチームが企画勝負いわゆる「ネタ」に走る傾向が多いなか、あえて王道をつらぬいた作品ではないでしょうか。
モデリングはまだ粗削りなところが見られますが、萌えでありながらもいやらしくない親近感の湧くキャラクターデザインです。
モーション選びも上手で声優さんの個性とマッチし、とても愛らしい世界観に仕上がっています。


また、非常にテンポの良い編集で飽きずにサラっと見れてしまうあたり初めてとは思えないセンスを感じました。
オープニングからエンディングまでの組み立て方も、流行りの動画をよく研究した構成をしています。
個々のクオリティでは他の作品も甲乙つけがたい内容でしたが、総合的な『まとまり』において頭一つ抜けた作品だったところが、審査員満場一致で最優秀賞となった理由ではないでしょうか。


あと、他のチームが制限時間いっぱいまで作業をしているなか、このチームは1時間以上前に終えて談笑していたのには驚きました。
さすが事前チームでの参加ということもあってチームワークがバッチリだったのかもしれませんが、しかしながら余力を残してこの仕上がり…末恐ろしい才能かもしれない!?

upd8賞

チーム:マクロファージ

SAIBOU

人間の胃の中のSAIBOU(細胞)を題材にした斬新な企画で、細胞系VTuberという今までにない(少なくとも著者は知らない)新しいジャンルに切り込んだ作品です。

とはいっても決して難しく感じるわけでなく、ゆるキャラのようなデザインを採用し、万人ウケするビジュアルにうまく落とし込んでいます。


細胞だけに分裂する。ただし、分裂するたびにおバカになってしまう…といった設定がしっかりと練られている点や「ペクチン、リパーゼ、アミラーゼ」といった消化酵素?をネタにしたキャラクターのセリフは一度聞くと耳に残り、見た人の印象に残りやすい作品に仕上がっています。


開発メンバーに医師さんがいるということもあってか、現代人が抱える胃の悩みもリアルに描かれていて、個人的に企画においては一番刺さった作品でした。

KLab賞

チーム: DreamCastle

夢見の園~VTuberハッカソン岡山大会参加制作~


美少女3人ユニットという難易度が高い制作に挑戦した作品です。
また、パーティクルやマテリアルといった見た目にも派手な演出を盛り込むことをコンセプトにした企画内容だったため、モデラ―やエンジニアが大変そうだけど本当に仕上がるのだろうか…?
と、メンターからも心配されていたチームでした。


しかし、完成してみれば背景にも3Dモデルを使用し、カメラワークも全チームのなかで最も派手な動きをしており、目標にしていたコンセプトの「綺麗さ、派手さ」を見事に達成しています。
また、3人のキャラ設定についてもそれぞれの特徴づけがしっかりされており、3人を起用したメリットを存分に出せたのではないでしょうか。


デザイナーやエンジニアの層が厚かったチームでしたので、反面、演技が得意な人は3人集まらず、キャラクターのモーションが少なめだったのが惜しい!と感じました。(演出が派手なだけになおさら) 次回から中の人は恥ずかしがらずに演技するともっと良くなると思いますよ。

あ…「中の人などいない」でしたね(笑)

山佐賞

チーム:レインボーレイ

雨の少女~レイちゃん、宇宙に行く~


本大会唯一、男性ばかりのチームです。
企画段階で、雨の『少女』としていたため、「別に女性キャラじゃなくてもいいんだよ?」と話しかけましたが、頑として美少女を起用したいということでした。
その瞳の奥からは、彼らの熱い思いが伝わってきました…。


しかしながらデザインになれたメンバーがおらず、1日目の企画発表時にキャラクターイメージが無いといった厳しい現実から、今だから本音を明かすと個人的に一番完成が危ぶまれたチームだったんです。


そんななか仕上がった作品はというと… いつも周りに雨が降っている少女という一見すると暗いイメージの美少女が繰り広げる、実はやさしい世界。
そこに時折「クスッ」としたネタを混ぜることによって生まれる笑い。
直球ではないものの、うまく『癒し』をテーマしたストーリーにまとめられたのではないでしょうか。
また、ボイスチェンジャーを使ってまでも美少女を演じきった熱意も評価され、見事、山佐賞に輝きました。

ドキドキしたで賞

チーム: 中野人形店

ぐるみチャンネル


ある意味、食いつかせるのが上手かった作品です。
他の作品が想像以上の出来栄えを見せつけるなか、開始直後からおっさん声のペンギンがしゃべっているだけというシュールな構図が続き 「ま、まさか…このまま終わるのか!?」 と、ドキドキさせられました。


しばらくして美少女キャラが登場したときには、会場全体が安堵の空気に変わったのを感じました。(笑)
オリジナルキャラの『ぬいぐ・るみ』ちゃんは、なんとキャラデザからモデリングまで、全て大会時間内(12時間ほどらしい)で制作したというので驚きです。


「美少女の日常」と「生きているぬいぐるみ」というのは、非常に相性の良さそうな組み合わせです。
いろんな使い方ができそうなので、実は継続型のコンテンツとして優秀な企画ではないでしょうか。
開発チーム自身、大会時間内では、とりあえず感が強かったとのことですが、将来の発展イメージが想像しやすいということは、今後が楽しみな作品ですね。

大本命だったで賞

チーム:眷属

カザリンチャンネル


その賞名のとおり最優秀賞大本命チームの作品です。
唯一、企画プレゼンを行いチームメンバーを募集したチームで、それだけではなく作りこまれたオリジナルのキャラクターモデルをも準備してくるといった気合いの入りっぷり!
この大会にかける意気込みを感じました。


またチームビルド後も社会人が中心となって順調に開発を進めているさまは、他チームの危なげな感じと違って、ここは間違いなく凄い作品を出してくるだろうと誰もが想像していました。
しかし、何が起こるかわからないのがハッカソンの醍醐味!とでもいわんばかりに、惜しくも受賞を逃してしまう結果となります。


キャラクターモデル、テロップのフォント選び、バストアップからの導入シーン構成など、パッと見のクオリティはプロでも十分通用するレベルでした。
そんな大本命作品がなぜ受賞を逃してしまったのかを一言でいうならば、それぞれの個性が強くて『まとまり』きらなかったのでしょう。
実はこれ、開発現場ではよくある話なんですよね~。

サウンドが入っていなかったり編集的にも未完成を感じる部分があるわけですが、すごくクオリティの高い作品なので、できることならこの後も続けてもらって完成形を見てみたいですね!

アドバイス

最後に少しでも参考になればと、簡単に3つのポイントをまとめてみました。



①.【詰め込みすぎ厳禁】
どれだけ無駄をそぎ落とし、一番伝えたいことを表現するか、を企画段階でしっかり検討しておくことが重要です。
とくにVTuberのような短いスパンで継続していくようなコンテンツでは、ひとつひとつのネタを大事に扱わないとネタがすり減っていってしまうので、ひとつの動画に2つ以上のネタを入れることはおすすめしません。


②.【サウンドは超大事】
SE、BGMは必ず入れましょう。
また、それぞれのボリュームバランスも大事なポイントです。
基本的に セリフ>SE>BGM のようなバランスで、セリフが主役になるような編集をすると良いでしょう。


③.【テロップは強調したいところに】
字幕のように全てのセリフに入れるのではなく、強調すべきシーンに用いるのが効果的です。
どうしても多く使いたい場合は、サイズや色などを変え緩急をつけ単調な絵になってしまわないことを意識すると良いでしょう。



この3つは、技術的に難しいことではありませんが、最初から意識できているのといないとでは、完成度『まとまり』に大きな差がでるでしょう。
今回のどの作品にも当てはまり、改善できればグッと良くなると思います。

あとがき

さて、ということで全作品のレビューを書いてみましたが、まだまだこんなもんじゃ書き足りないくらいにみなさんの頑張りは凄かった!


私自身がみなさんと同じ年齢のときに、そんなにやれていたか?
もしかしたら社会人としての今でも負けているんじゃないか?
と、自問自答しています。


そんなにも素晴らしいみなさんの才能を眠らせておくのはもったいないですから、ぜひ今回のイベントをきっかけに今後も創作活動を続けていってもらえれば、こんなに嬉しいことはことはありません。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

2018年9月末 横井